餃子の探求

餃子の本。ムック本サイズ。半分くらいがカラーページである。まず、福島餃子・宇都宮餃子のような餃子タウンの紹介がある。それぞれの街の餃子の特徴や歴史や代表的な店といった内容である。「高槻うどんギョーザ」には驚いた。次いで、全国の餃子がおいしいお店の紹介。「餃子の王将」のようなチェーン店も含まれている。「神楽坂飯店」のジャンボ餃子は本当に大きい。後半では、いろいろな餃子のレシピがある。焼き餃子も、さやいんげんが入ったものとか、卵とバジルが入ったものなど、いろいろなバリエーションがある。水餃子もあるし、蒸餃子については、ウニ風味の蒸しエビ餃子や、ココナツ入りかぼちゃの蒸し餃子などもある。揚げ餃子もいろいろあっておいしそうである。ページ数はわずかだが、面白かったのは、最後の方に載っている餃子の発展史。餃子は江戸時代に日本に入ってきている記録があるが、親しまれるようになったのは満州へ多くの日本人が移り住んだ時期。そして昭和20年の終戦後まもなく餃子の店が全国に開店している、とのこと。これは、戦後の食糧難の中では、小麦・キャベツ・白菜が比較的入手しやすかったことと関係があるらしい。ただし、中国では普通の水餃子は、戦時中の「すいとん」に似ていると評判が悪かったことから、日本では焼き餃子の方が定番化したようだ。ニンニクを入れるのも日本独特で、豚肉が高いころには中国に羊肉を入れることも多く、しかし老羊が多かったためにニンニクをいれるようになったらしい。これによって、高度経済成長時にスタミナ食としても人気になる。平成に入ってから宇都宮をはじめ餃子を町おこしに使う自治体が現れる。ラーメンが戦後日本で浸透して変化していった歴史とダブるものが結構あるな、と思った。