神々は渇く (1977年) (岩波文庫)

スタンダールの『赤と黒』を読んだことでフランス革命期を舞台にした作品に関心が募ったことから、本書を手にとる。『赤と黒』と共通するのは若い男性が主人公という点。だが、それぞれの描かれた時代には開きがある。本書は革命のピークの内に入る1793-94年が中心。一方、『赤と黒』ではナポレオンの没落後以降が描かれる。貴族・ブルジョアジーら上流階級の人々の間では、ナポレオンは忌避すべき人物とされる。ゆえに、ナポレオンに惹かれる主人公ジュリヤン・ソレルは、彼らの前にあっては、そのような態度表明をすることはもちろんできない。これが『赤と黒』の時代。それは本書で扱われる時代の約40年後。読み比べてはいかがかな。巻末には次の4つが付いている。「フランス革命略年表」、「国民公会とその時代」、「関係基礎文献抄」、「解説」。