あなたの難しい人―統合失調症者を理解したい人のために

この本を読むと、統合失調症的気質も、かなり変わった人ではあるが（少なくともこの本の著者のような社会的な紳士から見ると少し変わった人に見えるが）、特におかしい存在ではないと気付く。過ぎたるは及ばざるがごとしというのは全く見当外れの表現になるだろうが、特に病的になって生活に困難をきたすのはもちろん問題です。岸田秀さんも、たとえ犯罪者や精神障害者をすべて殺しても社会ではまた全くおなじように犯罪者や精神障害者は存在してくると言ってますが、統合失調症も一つの生き方として見ることもできる。本人が好まざるとしても。この本のような模範解答的な書き方の本に対して、越智啓子さんの人生のしくみのような本もあり、どちらがいい、どちらが正しいとは簡単には言えない。幻聴は自分の考えている（裏の？）考えが音として聞こえてしまう現象だということですが、幻聴や多重人格の原因は一義的には解釈できないと思う。統合失調症患者は自分が統合失調症だと理解・認識しだすと統合失調症が治ると言われますが、この本は統合失調症の人が自分の気質・病気・性格・社会や他人との接し方などを考え反省するのにとても役立つと思う。他の本は副作用や生活の仕方などしか参考には出来ない。