野村證券第2事業法人部 (講談社+α文庫)

聞きたい！バブル時代に実際に野村證券プロパーで営業をされていた方のお話。最後まで一気に読めました。リアル感は、私が親を通してのバブル崩壊までの「株業界の雰囲気」を知っているからだと思います。野村證券さんは「特別」なのは小学生の頃から感じていました。あと就職活動の丼系の話とか聞いていましたｗ。自分で思い通りに売買したい人には全く向いていない証券会社の印象でした。顧客に土下座当たり前（証券会社はね）・罵声・灰皿が飛ぶ・会議室で説教等、今だったらブラック企業ですね。でも「別に怒られているの自分じゃないし」で、何とも思わなかった一般職の女性の話も聞いていますよ。バブル崩壊時のリアルな、怖くてえげつない世の中の描写が「知りたい私」にはありがたい。以前は今ほど規制が厳しくなかったんですね。法人部時代の株価操作系の話が「とても勉強になりました」。「大企業の主幹事になる」ってそういう一面もあったんですね。でも野村さんの審査は厳しい、一流企業の証です。当時他の証券会社が、野村證券さんが「何を売買したか」追従して行動していたと聞いています。横尾さん京都大学御出身で頭が良く、顧客説得に有利な「学歴ブランド」をお持ちですが、やっぱり営業イケイケ。「石橋を叩きながら渡る」ような見切り発車。でもパトロン的顧客から可愛がられる人だったと思いますよ。私このような男性嫌いじゃない。ところどころにユーモラスなお人柄も感じられてｗ、お話したら楽しい方かと。でも今この本で『事件の真相』を語れるなら、もうちょっと普段から隙なく詰めてどうにかならなかったのかな？逮捕は「見せしめ」でしょう。まぁあんまり細かく詰めすぎると営業できなくなるのもわかるんですけどね。当時の証券会社の営業サイド（商品）も顧客も「株・為替に対する自己責任・リスク管理」が現在と比較して実に甘かったことがわかります。顧客も勉強をしないから「わからない商品は買わない！」とはっきり言わないからカモにされるんです。横尾さんは支店長時代は現代的な社風に変える努力もされています。『長期運用』を推奨しています。現物を安い時に買って高い時に売るのがシンプルで手堅いですからね。あと、横尾さんはバブル崩壊前後はNYに駐在。当時海外からの「日本の株と土地は暴落する」予感を描きます。８5年の「プラザ合意」前後の実体験が生きている推測。これ重要でしょう！こういうのが、私聞きたかったから。同時期、野村投信のファンドマネージャ→崩壊後に野村総合研究所の近藤駿介さんの『1989年12月29日、日経平均3万8915円』と合わせて読みました。お二人は野村総合研究所を通してお知り合いだったのかもしれません。今はネット取引の時代、この本で描かれる世界は「私たちの親世代」のにぎやかな証券会社です。某街の今の野村さん、株価表示も店舗内電光掲示板でシンプル、内装も実にすっきりとして、店内に客がいない。受付に女性一人、ドアの中に通されると、パーテーションで区切られたカウンタースペースが３か所、奥に応接室。隣接する事務スペースも静か、「街の昔の写真展」が開催されていたのでお邪魔しましたが。とにかく路面スペースが、商品やセミナーのポスター等が張ってあるのみ。子供の頃親に連れられ、他の証券会社の店舗に何度か行った時がありますが、今は本当に変わりましたよね～。母に報告したら「今は店舗に年寄りしか来ないでしょう？」って。